排尿トラブル②

また台風が近づいていますね。
いつも「すごいのがくる」と言われながらも、案外そうでもなかったりする名古屋。
今回はいかに!?

 
さて、前回から排尿トラブルと題しスタートしましたので、
今回もその続きです。

「尿が出にくい」原因となる低活動膀胱について。

前回書いたとおり、尿が出にくくなるのは一般的に前立腺肥大症が関わることが多いので、
つい男性ばかりかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
若年者や前立腺のない女性にもみられます。

 

そもそも排尿とは膀胱が収縮することによって起こりますが、
収縮力が低下すると尿の勢いが弱いとか、残尿感がある、尿の切れが悪いといった症状がでます。
このような状態を低活動膀胱といいます。
膀胱をゴム風船に例えましょう。新しいゴム風船はしっかり伸び縮みしますが、ビロ~ンと伸びきった収縮力のない風船は、ただの袋のようなもので膀胱も一緒です。

 

低活動膀胱では、実際に残尿がおこることがあり、いつも膀胱にある程度の尿が存在するため、すぐに膀胱が容量いっぱいになり頻尿になったり、
膀胱がいっぱいになっても排出できないため、溢れて漏れてしまう溢流性尿失禁が出現することがあります。
また、残尿があるということは、膀胱内の尿が一掃されずキレイになりにくいので、
膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症や、膀胱結石ができる原因にもなります。

 

低活動膀胱は、膀胱の運動障害をさしますが、
膀胱の知覚が低下して、尿が溜まった感覚が鈍る、もしくは尿意を感じない膀胱知覚低下とは別モノなので少しややこしい。
ただ多くは低活動膀胱と膀胱知覚低下は合併してみられることが多いようです。

 

膀胱は自律神経である骨盤神経と下腹神経によって支配されています。
低活動膀胱は、膀胱を支配しているこれらの神経や脊髄の障害、脳の障害でおこります。
では、具体的にどんな病気が原因となりやすいのでしょうか。

 

 

<末梢神経障害>
糖尿病
糖尿病の有名な合併症の一つに糖尿病性神経症がありますが、末梢神経障害はとても高頻度でみられる症状です。インスリンが必要な糖尿病患者の約8割が膀胱機能に異常をきたしているという報告があるそうです。
手足の痺れなどは自覚しやすいのですが、尿意や残尿感の鈍麻は初期に気づかないことが多くあります。

骨盤内手術
直腸癌や子宮癌の手術では、骨盤神経の損傷をきたしやすく、多くの場合で低活動膀胱となります。最近は、できるだけ神経を温存する手術法も行われており、術後の時間経過とともに改善することもあります。

 

 
<脊髄の異常>
脊髄損傷
脊髄の障害による低活動膀胱の原因でもっとも代表的なものです。
多くは交通事故などによる外傷で起こるので、若い人に多いのが特徴です。その後長年にわたり排尿障害が続くことになるので、とくに適切な治療が必要です。
脊髄損傷による排尿障害は、発症からの時期によって症状が変化します。
発症直後は急性期とよばれ、ほぼ全例で低活動膀胱の状態になり、その後症状が固定する慢性期へと至りますが、この時期の状態は損傷された脊髄の部位によって異なります。

二分脊椎
生まれつき脊椎の癒合が完全ではなく、一部が開いたままの状態で、
小児の低活動膀胱の原因として最も多いものです。

 

 
<脳の異常>
パーキンソン病
中脳にある黒質が変性することよって、さまざまな神経症状が出現します。
低活動膀胱をきたすこともあれば、過活動膀胱になることもあります。
膀胱の障害は、パーキンソン病の進行とほぼ平行して進みます。

脳血管障害
脳内出血や脳梗塞は、微小なものを除いて発症直後に一時的な低活動膀胱になります。
回復後は逆に過活動膀胱になることが多いようです。

 

 
他にも、
薬の副作用で一時的に低活動膀胱になることもあり、代表的なものは向精神薬や抗ヒスタミン薬、かぜ薬でも膀胱の収縮力の低下がおこることがあります。

 
次回も「排尿トラブル」です。
興味ないと言われても、書きますよ~(笑)

 
~おまけ~

先日で当院を開業して半年が経ちました。
この調子だと一周年もあっという間に迎えそうです。
今後ともよろしくお願いします!

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