排尿トラブル①

久々ですが、何事もなかったかのように しれーっと始めます。

 

先日、開口一番「尿の出がわるい!!」と、訴えてこられたご高齢の患者さん。
まったく出ないのか、それとも少ししか出ないのか、尿意はあるのか、痛みや残尿感はあるのか。
聞くことはたくさんあります。

鍼灸院に排尿トラブルを主訴に来られる患者さんはあまり多くありませんが、
実際は尿の回数が多い、尿の出が悪い、夜中に何度もトイレで起きるなど
何らかの排尿トラブルに困っている方は多数おられます。

 

というわけで、
排尿トラブルについて少しずつ書いていきます、少しずつですよ。

当院に来られた患者さんのこともありますので、
まずは「尿が出にくい」に注目しましょう。

 

尿が出にくい状態を排尿困難と言います。
排尿困難の症状は排尿遅延、尿勢低下、尿線途絶などに分けられます。

排尿遅延は、排尿が始まるまでに時間がかかることで、尿を出そうと思って力を入れても出ないというもの。
尿勢低下は、尿が出るところまではスムーズだけど、尿の勢いが弱く、排尿を終了するまでに時間がかかること。
尿線途絶とは、いったん排尿が始まっても途中で途切れて、また始まるような症状。

このような排尿トラブルは、
例えば混んでいるトイレに行き、隣の人はすぐ排尿を済ませるのに自分はなかなか終わらない、そんな場面で気づくことが多いようです。

 

排尿困難の原因として、
男性では前立腺肥大症や前立腺ガンなどの前立腺疾患が多くを占めます。
また膀胱の機能を支配する神経の障害でおこる低活動膀胱
尿道が狭くなる尿道狭窄、
排尿括約筋(排尿しようとすると尿を止める筋肉)が神経の障害により収縮してしまうなど、排尿困難がおこる原因はさまざまです。
抗コリン剤やかぜ薬、鎮痛剤、胃薬など薬剤の影響で膀胱の収縮が低下して尿を出しにくくなることもあります。

 
そして排尿困難と一緒に現れる症状として多いのが、残尿感
排尿が終わったものの充分に尿を出し切った感じがせず、膀胱が完全に空になっていないと感じることです。

先ほど書いた排尿困難の原因になる病気は全て残尿感の原因にもなります。
また膀胱がん、膀胱結石、膀胱炎、前立腺炎など頻尿の原因になる病気も膀胱粘膜を刺激するため、残尿を感じる原因になります。

実際に膀胱内に尿が残っている場合と残っていない場合がありますが、それを確かめるには病院で超音波検査などをして残尿の有無を調べる必要があります。
ちなみに私達は200~400mlくらい尿が溜まると尿意を感じますが、50ml以上の残尿は病的とみなされます。

 
尿が出にくいではなく、出ない。そんな状態を尿閉といいます。
尿が膀胱に貯まってはいるが、排尿しようと思っても出てきません。
排尿の時には、膀胱が収縮し膀胱の出口が開くことが必要です。しかし、何らの原因で膀胱の出口が充分に開かなければ、膀胱は収縮しているにもかかわらず尿が出ないという状態になります。
また、神経因性膀胱といって膀胱の働きをコントロールしている神経に障害がある場合にも、膀胱の収縮が不充分で尿が出ないということが起こります。

尿閉には、急に出なくなる急性尿閉と長時間充分に排尿できない慢性排尿があります。

急性尿閉は、前立腺肥大症でよくおこる症状で、肥大した前立腺が膀胱の出口を塞いでしまうことが原因の大部分です。
長時間の座位、飲酒が症状を引き起こしやすくするので、
ビールやお酒を多量に飲んで寝た後、夜中に急に尿が出なくなって、激しい尿意とともに膀胱部の痛みが出るパターンが多いようです。
また抗コリン剤や風薬、痛み止めなどでも膀胱の収縮力が低下して尿閉になることがあります。

 
慢性尿閉は
急性と同じく前立腺肥大症が原因となることが多いのですが、直腸がんや子宮がんの術後におこる低活動膀胱でも慢性尿閉になることがあります。
膀胱内に長時間尿が溜まると、本人の意思とは関係なく、溜まった尿が少しずつ漏れ出てくるようになります(溢流性尿失禁)。
慢性尿閉はかなり悪い状態であり、膀胱結石や腎盂腎炎を併発し、ひどいと腎不全になることもあります。
急性慢性に関わらず尿閉をおこしたら、すぐに泌尿器科を受診してください。

 
こんな感じでしばらく排尿トラブルについて
つらつらと書いていきます。
「つらつら」って、「何となく」みたいなイメージでしたが
調べてみると「よく考えて、じっくり、念入りに」というのが本来の意味らしいです。

…しっかり書かなくてはいけませんね。

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