プレコンセプションケア②

皆さま、昨年は大変お世話になりました。

1月も終わってしまいますが、2024年も鍼灸院forゆうを宜しくお願い致します。

 

結局、年末年始は1月2日だけ完全休暇でしたが、あとは患者さんが来られていました。

なので、ずっと仕事してる感じなので「あー明日から仕事か、やだなぁ」という心理状態になりません(笑) ある意味楽ですね。

 

さて、さっそく本題へ入ります。

昨年に書いた続きです、”栄養”の話しです。

 

”母体の栄養や精神状態が産まれてくる子供に大きく影響する”

と前回はプレコンセプションケアの広義を述べましたが、今回はより具体的な話に入ります。

 

膨大な数のビタミンやミネラルがあるわけですが、

何が一番大事なのか!?

当然、何かだけを摂取したら妊娠するとか健康になるという単純な話しではないでしょう。

しかし、あえて一番大事だと思うモノを挙げろと聞かれれば、私は「たんぱく質」と答えます。

 

人の身体の構成要素は、水分約60%、たんぱく質約20%、脂質や糖質、ビタミン、ミネラル併せて約20%

なので、水分を除けば、人の身体の大部分はたんぱく質でできていると言っても過言ではありません。

 

人の身体というものは、スクラップ&ビルドの連続。つまり、常に細胞は作って壊して、作って壊してを繰り返し、身体(内臓も含め)はフレッシュで健康な状態を維持しています。

こうしてブログを読んでいるときもYouTubeを見ているときも、皆さんの体内ではスクラップ&ビルドが行われています。

その工程で、さまざまな栄養素を使うわけですが、特にたんぱく質を多く必要とします。

さらに、たんぱく質の必要量が増加するときがあります。

例えば、ストレスにさらされる、外科的手術を行った後、成長期、甲状腺機能亢進症、妊娠期・授乳期、癌、炎症性疾患(発熱、リウマチなど)

こういう時は、通常時より多くのタンパク質を消費する状態なのです。

 

では、ざっくり タンパク質不足がもたらす心身への影響はどんなものがあるのか

免疫力低下、老化を促進、成長が妨げられる、代謝が悪くなる、肌や髪にハリツヤがない、貧血になるなど・・・

ここで挙げたのはほんの一例に過ぎません。身体の構成する大部分が足りないんですから、さまざまな悪影響がでるというのは想像がつきますね。

 

 

 

タンパク質が足りているかチェックする場合には

血液検査の項目では、ALB(アルブミン)、BUN(尿素窒素)、TC(総コレステロール)、肝臓の値であるASTやALTなどからわかることができます。

前回書きました内科医の金子先生は動画内で、

「妊娠すると、アルブミンが一気に減る!」と言っていました。

患者さんの血液を測っていると3.7から2.5くらいまで急激に減ることが多いようです。(分子栄養学的に理想は4.5g/dlで、4.0未満は赤信号)

これは、胎児が母親からタンパク質(アルブミン)を持って行ってしまうということなのです。

大人と同じように赤ちゃんの身体構成成分もタンパク質が大部分なのですから、母親から大量に持っていくことは当然のことでしょう。

ちなみに、タンパク質に続き大事な「鉄分」も妊娠すると大量に胎児に奪われてしまいます。

 

また、アルブミンは寿命とはっきり相関があるようですので、アルブミンが高ければ長生きだし、低ければ寿命が短くなる傾向にあると。

タンパク質(アルブミン)=健康寿命

特に高齢の方ほど、タンパク質は重要になってきます。

 

では、いったいどれくらい摂れば良いのでしょうか

妊娠前:1日1.0~1.5g/㎏ 妊娠中:1日1.5~2.0g/kg

なので、体重50㎏の人は50g~75g、65kgの人は65g~97.5gのタンパク質を一日で摂って欲しいということです。体重分ならまだしも、体重×1.5gは相当な量になりますね。ましてや、妊娠中だとさらに多くを推奨しております。

肉とか魚の量ではありませんよ、肉や魚の中に含まれるタンパク質の量です。

私の経験上、妊娠すると多くの方が「つわり」に悩まされるので、普通の食事ですらままならないのに

体重×1.5gはちょっと現実的はないですよね(笑)

当院の患者さんでも、「妊娠してからプロテイン増量しました!」って見たことありません。

だいたい妊娠すると頑張ってプロテイン飲んでいた方も挫折しますね。

いいんです!つわりが治まって、少しずつ食べられるようになったら、またタンパク質を意識した食事に戻せば大丈夫ですから。

 

 

このブログを読んでいただいている方の多くは不妊治療されているはずですので、

妊娠希望の女性にむけて最後は述べます。

 

妊娠できるかどうかは「卵子の質が良いかどうか」そこでほぼ勝負は決まりますが、

その卵子自体もタンパク質と良質な脂質で作られています。

そして、できた受精卵が着床する子宮内膜の形成にもタンパク質が不可欠です。

さらに、妊娠に必要な女性ホルモンの材料はコレステロールです。

精巣で作られるアンドロゲン(男性ホルモン)、卵巣で作られるエストロゲン(女性ホルモン)、黄体や胎盤で作られるプロゲステロン(黄体ホルモン)などのステロイドホルモンはコレステロールを原材料としますが、コレステロールも元をたどればタンパク質から作られています。

身体で必要とされるコレステロールの7割がタンパク質を材量とし、肝臓で合成されます。

ちなみに髪の毛を食べても髪は生えてきませんよね?

コレステロールを食べてもコレステロールは増えません。

身体の複雑な代謝メカニズムによって、タンパク質→コレステロールが作られますので、やはりタンパク質を摂取することが必要なのです。

 

30年前と比較すると出生時体重が2500g以下の低出生体重児数が約2倍増えていると言われています。

低出生体重児が将来成人になると生活習慣病リスクが高まる可能性も指摘されておりますので、しつこいようですが「妊娠したからもういいや」ではないと強く念押しさせていただきます。

 

おまけに

二人目不妊の患者さんからは、一人目のお子さんについてよく相談を受けますので、子供の場合ではどうかと言いますと、

もちろんタンパク質が必要です。成長期にはタンパク質の消費量がハンパじゃない。

身長を伸ばしたいなら、ビタミンDとカルシウム、そしてタンパク質。

脳の成長には、神経伝達物質ですがこれもタンパク質を材料に作られます。

さらにアミノ酸の一種アルギニンやリシン。

とにかく子供は日々栄養を消費して、成長しておりますので、栄養あってもあっても足りないくらいです。

 

 

というわけで、いかがでしょうか

”妊娠のために、胎児のために”

タンパク質が重要だということが納得していただけるはずです。

 

私は分子栄養学の考えを基に血液検査の結果を見るようにしていまして、

健康診断を受けると検査結果の横にある基準値というものを鵜呑みにしておりません。

不妊症患者さんが来られて健康診断を受けている方には「もしよかったら、結果持って来ていただければ見ますよ、何か足りていないものがあるかしれません」と提案しております。

 

栄養カテゴリーは範囲が広くて書き始めると終わりませんね…

また栄養に関しては少しずつ書いていこうと思います。

 

 

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