PGT-Aについて3
一気に寒くなりましたね!私、寒いの苦手なんですよ・・・
またPGT-Aかよ!と思うでしょうが、これで最後にしますので、もう少しお付き合いください。
前回では、仮にPGT-A検査の結果、正常な染色体と染色体異常が混合した「モザイク胚」だとわかったとしても、軽度のモザイク胚では移植するケースもよくあり、もちろん妊娠、出産まで至ることもできる。
そして、産まれてきた子供のほとんどが身体の異常などはなく健康である。
と書きました。
「そうは言っても、異常があるって言われたら、なんか産まれてくる子供に影響があるのでは・・・」と心配になる気持ちもよくわかります。
いったいどうしてモザイク胚にも関わらず、子供には何事もなく生まれてくるのでしょう。
理由はいくつかあって、
①PGT-Aで調べる細胞は、胎盤になる細胞を採取して検査している(胎児になる細胞ではなく)
②胚から細胞を採取するときに、染色体に傷がつきモザイクになってしまう(検査によってモザイクになる)
③異常があったとしても、着床した後、成長の段階で異常が消失していく
という説が考えられています。あくまで説であり、確実なことはわかっていないようです。
どれもあり得そうな話しですが、いずれにせよ「軽度のモザイク胚」ならばトライする価値はあります。
まだまだわからないことが多いPGT-Aですが、
完全に染色体異常あり!という胚に関しては移植はしません。なので、やはり流産を繰り返している方や時間の余裕がない方には良い検査かと思います。流産すると、その処置で手術が必要なこともありますし、そこから治療を再スタートするまでに大事な時間を使うことにもなります。なにより、精神的なダメージは計り知れないでしょう。
最近は、新たな試みとして、”胚が浸かっていた培養液”を検査するniPGT-Aという方法があるようです。培養液中に、胚から脱落したDNAの断片が落ちているので、それを調べるというもの。
培養液中の断片なんかでわかるのかと疑問ですが、8~9割は細胞そのものを調べたときと結果が一致するみたいです。培養液中のほうが、たくさんの細胞からDNAが落ちているでしょうから、従来のPGT-Aのように一部の細胞を調べるより多くの情報がわかるのかもしれません。
今後はこのniPGT-Aが主流になるのでしょうか!?
というわけで、近年不妊治療業界では新しい検査・治療がいろいろ発表されております。
子宮内膜の炎症や子宮内の細菌叢を調べたり、再生医療分野であるPRP療法を活用したり…当院を開業した10年前ではトリオ検査もPRPもPGT-Aも聞いたことすらありませんでしたからね。
こうして技術革新は日々行われて、さらに10年後には「こんなことができるようになるとは!」と驚いているに違いない。
今日が一番若い日です、寒さに負けず動きましょう!!(と自分に言っています)