PGT-Aについて その2

前回の続きです

 

PGT-A検査で染色体に異常がなかった胚でも3割程度は妊娠しなかったり、流産してしまうことは前回書きました。

ということは、異常のない胚を移植すると約7割は妊娠に至ります。施設にもよるのでしょうが。

従来の「見た目」で判定した胚を移植する場合は、一般的な妊娠率は若い方でも約30%程度のはずですから、そう考えるとPGT-Aを行い”どの胚から移植すれば効率よく妊娠できるのか”、その指標には良い気がします。

 

が、少し捻くれた考えをすると・・・

最初から妊娠できて出産までいける胚があった人には、PGT-A検査をしようとしまいと、結果的には出産できるし、逆に出産までいける胚がなかった場合には検査をしてもしなくても、妊娠しないか流産してしまう、ということです。

ほんなら、あまりPGT-Aやる必要ないんちゃうの?という声が聞こえも不思議ではありません。

胚から細胞を採って検査にまわすのですから、少なからず胚にダメージがあるという話しも聞きます。

あとは、金銭的な問題もありますね。現在は1個の検査料が6-7万円でしょうか。

んーーー 悩ましいですね。

現在ウチに来られている患者さんもやるかやらないか迷っている方がいます。

 

 

さて、悩ましいといえば、これも悩ましい。

「モザイク胚」の問題。

どんな胚かと言えば、正常な染色体の細胞と異常のある細胞が混じっている状態。

例えば、6個の細胞を検査に回したら、3個が異常という結果だった。となると、半分は正常なわけですから、どうしたもんかとなるわけです。こういう場合、基本的にはその胚は移植しないというのがセオリーのようです。本にもそう書かれています。

しかし、40歳を超えやっと検査に回せるレベルの胚盤胞に育ったという患者さんですと、たとえ検査結果がモザイクだとしても・・・破棄したくないですよね、望みをかけたくなるものです。

(そもそも検査に出せる胚盤胞になるのかが、けっこう高いハードルなんですよね)

 

では、実際モザイク胚を移植した場合どうなのか。

意外と「無事に出産までいける」ケースが多いと最近わかってきたようです。もちろん健康な赤ちゃんですよ。

ただし、あくまでも「程度の軽いモザイク胚」という条件付き。

PGT-Aがはじまった当初はデータが少ないですから「モザイクはやめとこうか」だったのが、だんだんと行う患者さんも増えてきて、それと共にデータが蓄積されて「結構大丈夫そうだぞ」に変わっていったのでしょう。

ということで、最近では「正常な細胞が多いモザイク胚」また、セグメンタルという「部分的に異常がある胚」に関しては子宮に移植することが多いようです。(クリニックの医師の考えによります)

 

ちなみに実際当院の患者さんを一例に出しますと

染色体異常のない胚盤胞を移植しても流産された方はいますし、

モザイク胚を移植して、無事にご出産された方がおられます。数年経っていますが、健康で元気な男の子でした。

 

個人的には①流産を繰り返していて、極力流産を予防したい②なおかつ検査にまわせる胚盤胞が多くできた、そんな方には良い手段だと思います。

お通いのクリニックの先生とよく相談して決めましょう。

 

今日が一番若い日です、行動しましょう!

 

このページのトップへ戻る