続・不妊治療 AMH
昨日は「大暑」だけあって、とんでもない暑さでしたね。
みなさん、夏バテしていないでしょうか?
ちなみに
昔から健康だけが取り柄の私は心身共にとても健康。
さて、
本題に入りましょう。今日こそ「AMH」の続きを書きます。
前回書いたことを少しおさらいすると
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は前胞状卵胞から分泌されるので、
前胞状卵胞の数が多ければ、AMHの値も高く、卵胞数が少なければ値も低いとされています。
そして、前胞状卵胞は約2ヵ月先の月経周期の排卵周期に入る卵胞
ということでした。
ここからが前回の続きです。
卵巣には、さまざまな大きさの(段階の)卵胞があります。
原始卵胞から始まり、排卵周期に入り、排卵する段階に至るまで約120日かかります。
みなさんが病院のエコー検査で診てもらい「そろそろ排卵しそうですね」と言われた、
その主席卵胞は、4周期ほど前から少しずつ成長してきたわけです(月経周期が30日なら)
AMHは前胞状卵胞から分泌されると書きましたが
この胞状卵胞とは、卵胞の中に卵胞腔という卵胞液で満たされた空洞を持つようになった卵胞を指し、卵胞が成長していくにしたがって、この空洞も大きくなっていきます。
空洞のまだ小さい状態を前胞状卵胞といい、空洞が大きくなった状態を胞状卵胞と呼びます。
卵巣の中には、卵胞空を持たない小さな卵胞が多数ありますが、
これらはFSH(卵胞刺激ホルモン)の影響を受けずに成長します。
しかし、卵胞腔を持つようになると、だんだんFSHに依存して成長するようになります。
卵胞腔を持つようになるのは、約直径0.4㎜ほどからの卵胞で、
そこから少しずつ成長した前胞状卵胞がAMHを活発に分泌しています。
排卵周期に入り、病院のエコー検査で確認できる頃には、卵子は約5㎜に成長していますが、この時に見える卵胞の数も、年齢とともに減少してしまうのが一般的です。
なんだか話がややこしくなってきました
果たして患者さんが、ここまで知る必要があるのでしょうか!?
もう少しだけ、お付き合い願いたいと思います。
先ほど、卵胞内にできた空洞「卵胞腔」は、卵胞液で満たされていると書きました。
この卵胞液を通して、動脈から栄養(FSHも)と酸素を取り入れ、静脈へ老廃物を送ることで、卵胞は成長していきます。
こうして成長していく卵胞もある一方で、途中で成長の止まった卵胞がたくさんあります。
これらは身体に吸収されるので、実際に排卵周期にエントリーできる卵胞は10~20個ほどです。
一回の月経周期に約1000個の卵胞が減ると言われていますので、
1000個のうちの10~20個がスタートラインに並び、そのうち1個が主席卵胞となり、
めでたく排卵されます。
毎月おこなわれる「月経」というマラソン大会に、1000人のランナー(卵子)が応募して、
実際にスタートラインに立てるのは10~20人。
優勝(排卵)できるのは、1人(1個の卵子)ということですね。
毎月、卵巣内で排卵をかけて熾烈な闘いが起きているわけです。
前回も書いたように、
一般的には、年齢に伴って卵胞数が減少するためにAMHの値も下がっていきます。
こうして卵胞数の減少とともにAMHの値が低下する現実を知ると、
妊娠へのチャレンジには期限があることがわかります。
AMHの値からは、
あと何個卵子が残っていてとか、あと何年妊娠へのチャレンジができて…など具体的な数や、正確な期間はわかりません。
ということで、AMHは
「あとどれくらい妊娠へのチャレンジできるか」を予測しています
もちろん大事な検査であることは間違いありませんが、あくまで予測!
AMHの値が高いから妊娠できるとか、低いから妊娠できないとか単純に決めつけることはできないことをご理解していただきたいと思います。
終始小難しい内容だったでしょうか!?
不妊治療をされている患者さん以外は、ちんぷんかんぷんですね。
まだまだAMHについては書くことがありますので、
また出てくると思います。
当院の庭では、セミが やかましく鳴いています