プレコンセプションケア
今年もあと2週間程度で終わってしまいますね。
先週、患者さんで急性の心筋梗塞で倒れた方がおられました。現在はご無事のようですが、一時危なかったようです。他にも患者さんの家族で脳梗塞とか、芸能人でも梗塞系の疾患で亡くなる方が目立つ。
皆さまもどうか体調管理に気をつけていただきたい。
さて、本題に入りますが
内科医の金子俊之先生の話される動画、「妊娠を希望する女性が知っておくべき基礎知識と栄養について」を見ました。(期間限定配信でしたので、今は見られません)
金子先生は内科医でありながら、分子栄養学研究所所長ということで、不妊症患者さんや妊婦さんが摂るべき栄養についても大変お詳しい。
実は私もこの分子栄養学(オーソモレキュラー)の考えに賛同しておりまして、もうかれこれ6年は自らサプリメント飲んだり、プロテイン飲んだりして、自らを実験台として分子栄養学を実践しております。なので、当院に来られている患者さんには、けっこう栄養の話をしております。
非常に勉強になった金子先生の講演に補足しながら、わかりやすく書いてみようと思います。
タイトルにしましたが、「プレコンセプションケア」という言葉、皆さんご存知でしょうか?
プレ(Pre)は「前の」、コンセプション(conception)は「受胎、受精」、それをケアするということなので「妊娠前の健康管理」という意味。
”妊娠を計画している女性が健康な身体状態を維持し、妊娠前から健康な妊娠を促進するためのケアや取り組みをしましょう”と定義されています。
なんだかとっても東洋医学的な理念ですね、私としては好きな考えです。
当院に来られる患者さんは、妊娠後より「妊娠希望」の方が多いのですが、
当然妊娠がゴールではなく、無事に出産することを目指していますよね。
「やったーー!もう妊娠したから、ここからは何も気にすることないでしょ!」と思うなら、それはちょっと違うんですよ。むしろ大事なのはここからと言っても過言ではありません。
「小さく産んで大きく育てる」とは昔からよく言われていましたし、今でもそれが良いと思っている方は多いのではないでしょうか。
しかし、この考えは現在では間違いであるというのが常識です。
DoHaD説…というのがありまして、そもそもどう読むねんという感じですが(笑)
Developmental Origins of Health and Disease の略で、ドーハッドと読みます。
「将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される」
・・・のではなかろうか、という説です。
出生体重の低下には遺伝、環境、喫煙など多くの原因が考えられます。
仮に胎児期や乳幼児期に低栄養だったとしましょう。そうすると、それに適合する代謝系が形成されてしまい、出産後に栄養豊富な環境での生活がスタートすると、それに適応できずやがて疾病発症につながると言われています。
簡単に言うと…胎児のときに低栄養・低体重だと大人になって病気になりやすい、ということです。
どのような疾病と関係があるか気になりますよね。
低出生体重との関係が明確な疾病には、高血圧、冠動脈疾患、2型糖尿病、脳梗塞、脂質代謝異常、血液凝固能の亢進などが挙げられていて、
明確とは言えませんが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うつ病、統合失調症、行動異常なども関連があるとされています。
もちろん、胎児期の栄養状態が全ての原因だ!とは思えませんが、
講演した金子先生は「おそらく間違いない」と言っており、妊娠中からのケアの必要性、また妊娠前からの身体づくりの重要性を力説しております。
”妊娠期の母体炎症によって引き起こされる神経発達障害様モデル”というマウスの研究があって、
妊娠期の母体ストレス、炎症、低栄養は自閉症スペクトラム症を含めた神経発達障害のリスクを高める、と結果が出ております。
当院は、不妊症患者さんが多いのですが、妊娠した後で「良かったですね、さようなら」とならず、
妊娠中を鍼灸を続けることを勧めるには、こうした訳があるのです。
胚盤胞が着床した後も細胞は分化を続けます。胎盤ができあがり、どんどん細胞は分化し続け、だんだん人としての形を成していく。
胎児はお母さんの血液を貰い続けて、成長していくのですから、母体の栄養・精神状態が胎児にも大きく係ることはまったく不思議なことではありませんよね?
自律神経整えましょう、血流良くしましょう、しかるべき栄養を摂って血液の質を良くしましょう
不妊時期だけではなく、妊娠時期も同じですね。
では、具体的にどのような栄養素が必要なのか!?
次回へ続きます