男性不妊と食事

いよいよワールドカップ始まりましたね。
普段はあまりサッカーに興味のない私も、しばらくは「にわかファン」になりそうです。

 

さて、今や不妊症の原因の約半数は男性側にあると言われていますが、
「加工肉をよく食べる男性は正常精子形態率が低く、魚をよく食べるほど精子濃度や正常精子形態率が高い」という記事を読みました。
これはアメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究でわかったことです。

 

不妊症で病院にかかっている方には説明するまでもありませんが、
女性側は多くの検査をしなければいけない一方で、男性側がする検査は主に精液検査であり、精液の量や濃度、数などを測ります。
今回の研究で出てきた精子形態率が低いということは精子奇形率が高いということです。
おたまじゃくしのような精子の写真を見たことがあるかもしれませんが、頭の部分が大きすぎる、頭の形がいびつといった形が良くないということです。女性の卵子と同様に、精子の質も重要なのです。

 

ちなみに、ここで書かれている
加工肉とは、ハンバーガーやホットドッグ、ベーコン、その他の赤身の加工肉。いわゆるファーストフードですね。
加工してない肉とは、メインディッシュとして出てくる牛や豚、サンドウィッチのハムなど、と書かれています。

 
わかりやすく結果だけ書きますが、

① 最も多く加工肉を食べる人は、最も少ない人に比べて正常精子形態率が23%低かった(奇形率が高い)
② 加工していない肉や鶏肉を食べる量と精液検査の数値との関連はみられなかった
③ 内臓(レバーとか?)を食べる男性は、食べない人に比べて24.5%正常精子形態率が高かった
④ 魚をよく食べる男性ほど総精子数や正常精子形態率が高く、総精子数では、魚の中でもサーモンやまぐろなど濃い色の身の魚ほどその傾向が強かった
濃い色の身の魚を最もよく食べる男性は最も少ない男性に比べて51%総精子数が多かった

とのことです。

 

肉や魚など動物性たんぱく質を摂ることは、脂質やいろいろな栄養素を摂取することになり、精子の質にも関連があるようです。
研究された先生は、肉を食べることは飽和脂肪酸を、魚はオメガ3脂肪酸を、そして内臓はミネラル類を一緒に摂るので、それが精子の質にも影響を及ぼしたと考えています。

 

突然、飽和脂肪酸だのオメガ3だの書きましたが、これらは簡単にいえば脂質の種類です。
脂肪=悪いもの、とイメージするかもしれませんが、積極的に摂っていい「良い脂肪」と極力やめた方がいい「悪い脂肪」があります。
今回の研究は、あくまでアメリカの研究です。日本で毎日ハンバーガーを食べている人は少ないと思いますが、なににせよファーストフードを毎日連続するのは精子に限らず、健康に良くないでしょうね。

 

 

食生活と不妊症については情報が氾濫しており、私もよく患者さんから「○○が良いって聞いたけど、どうですか?」とか「妊娠しやすくなるサプリメントはなんですか?」と聞かれます。
中には、何をいったい根拠に!?と言いたくなってしまうのもありますが、皆さんそれだけ妊娠するために必死に情報を集めているということです。
はっきり言えるのは、「これだけ食べていれば妊娠できる!」というものはありませんし、反対に「これを食べたら絶対妊娠しない!」というものもありません
ただし、皆さんがこれまで何十年と食べてきた物によって、今の身体が構成されているのですから、不妊症と食生活は関係していて当然だと私は思っています。

 
これから、不妊症と食生活について少しずつ書いていきたいと思います。

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