鍼灸師は治療をする際、当然患者さまの身体に触れるわけですが、この「触れる」という行為、とても大事なことです。触りかた一つに術者の感情が表れ、術者の気が伝わります。雑に触れば患者さまは不快に思い、治療に集中していなければ触られている患者さまは気づくものです。
丁寧に触り、丁寧に施術する。基本中の基本ですが、「触れる」ことの大切さを忘れずに毎回治療に臨みます。
父親が間質性膀胱炎という難病を患っていたことをきっかけに、大学4年次では泌尿器科ゼミに入りました。大学には付属病院があるため、西洋医学と鍼灸が連携して患者さまを治療することができます。
「過活動膀胱で尿の回数が多い」「尿を我慢できない」「慢性骨盤痛症候群で骨盤内の痛みや不快感がある」「前立腺肥大による頻尿や残尿感」などの泌尿器科領域においても、鍼灸は効果があります。
勉強しているうちに、同じ骨盤内臓器である子宮・卵巣を診る婦人科疾患に興味を持ちました。
大学卒業後、不妊症や不育症など婦人科疾患を専門とする鍼灸院で6年間修業しました。鍼灸治療の楽しさと難しさ、仕事へのやりがい、そして患者さまに必要とされる喜びを経験しました。鍼灸の技術や不妊症の知識だけではなく、患者さまへの気づかいが大事であることを学びました。
修業先の明生鍼灸院は、不妊・不育治療を専門とした鍼灸院の先駆け的存在であり、学会発表や臨床研究にも力を入れています。
その後、海外で鍼灸をしたいという大学生時代からの夢を忘れられず、働きながら英語を勉強しました。多くの人達に協力していただいたおかげで、世界を回る船上鍼灸師として働く機会を得ました。
乗船した当初はほとんど英語が理解できず、さらに日本人はわたし一人。困ったことは数知れず、スパのスタッフに限らず、多くの人に助けられました。人種を問わずお互い助け合う、そこには言葉も肌の色も関係ないと感じました。海外に出たことで日本の良さに初めて気づき、また日本人の丁寧な仕事は世界に通用すると実感しました。
世界中から働きに来る多くの外国人と共同生活し、異国の文化を学んだ経験は今後の人生において役に立つと信じております(鍼灸師としてはわかりませんが)。日本に戻った後も、しばらく海外で開業することを考えていましたが、実際に私を必要としてくれる人は近くにいるのだと気づき、地元である名古屋で開業することに決めました。
心身の不調で毎日を楽しく過ごせていない方を笑顔にしたい!不妊治療を頑張る多くの方の力になりたい!そんな一心で鍼灸院forゆうを作りました。
人と人との繋がりが好きで、大切にしています。ここで出逢えるのも何かの縁、新しい出逢いを楽しみにしております。
鍼灸院forゆう院長 深谷悠平