小児鍼①

昨日の台風が嘘のように、今日はジリジリと焼けるような暑さでした。

 
さて、
久々にまともなブログ内容にしようかと…

 
先日、当院に新たな患者さんが増えました。
患者さんの年齢は生後5か月!当院の最年少記録です(笑)

5か月の赤ちゃんに何をするの!?と思うかもしれませんが、
だいたいそのくらいの時期から、
夜泣き、寝つきが悪い、機嫌が悪い、キーキー言う、噛みつくなど、
いわゆる「かん虫」が現れます。 実際に、虫が出てくるわけではありませんよ。
かん虫とは、特定の疾患や病名を指すのではなく、
生後3ヵ月くらいから3歳くらいまでの小児が引き起こす種々の症状に対する俗称です。

というわけで、
数回に渡り「小児鍼」とはどういう治療か紹介したいと思います。

 

その前にまずは、
子供へ触れること、いかに肌と肌の接触が大事かということを
物語っているエピソードをご紹介します。

 
時代は13世紀のこと。
ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世は、50人の赤ちゃんと乳母たちを集め命令しました。
「赤ん坊に母乳を飲ませ、おむつを替え、お風呂に入れ、寝かせなさい。
ただし、一言も話しかけてはならない。さらに、抱いて可愛がることも禁じる。」

これは、当時人間は本能的に言葉を話すようになると信じられていたので、
一言も話しかけずにいたら、どうなるか調べた実験だったようです。

結果は、50人全員が、1歳の誕生日を迎えることなく亡くなってしまいました。
充分に母乳を飲ませ栄養は足りていたはずですし、清潔に保っていたので感染病で亡くなったわけではないでしょう。

 
こんなエピソードもあります。
20世紀、欧米の孤児院では、子供の死亡率の高さに悩まされていました。
1915年アメリカのボルチモアにある孤児院では、1年以内に9割の赤ん坊が死亡したとか。
1940年に入ると、栄養状態が改善され、医療的なケアも注意深く行われるようになりました。しかし、それにも関わらず、孤児院で生活している子供の約3分の1は死亡してしまったようです。
なぜでしょうか?

その原因となったのは、当時最新のものとして流行っていた育児法にあったのです。
それは人間の「心」といった、とらえどころのない曖昧なものはできるだけ排除することが、科学的で理性的な子育てのために必要だ!
という、なんとも恐ろしい考え方が主流だったのです。

子供に触れることは、子供を甘やかすことであり、甘やかされた子供はダメになるので、泣いても放っておくことが、正しいと信じられていました。
そんな子育て方法を推奨した最新の育児書を手にした裕福な孤児院では、皮肉にも死亡率が高く、
最新の育児方法を知ることもなく本能のままに子供に触れ続けていた裕福でない孤児院では、死亡率はとても低かったそうです。

 
この二つのエピソードから、
「触れる」ことがいかに大事かお分かりになると思います。
スキンシップがないのは、子供にとって大変ストレスなのです。
(大人も一緒だと私は思いますが)

 
触れることの大切さは、多くの動物実験からも明らかです。
アメリカの心理学者が行ったサルの「隔離飼育」の実験。
生まれたばかりのサルの子供に、離された母親の代わりとなる2つの母親人形を作ります。
一つは布製、もう一つは針金製。それら2種類の人形から交互に授乳してみると、
そのとき赤ん坊は毎回布製の人形に愛着を示すことがわかりました。
さまざまな実験の結果から、サルの子供には

生後まもない時期にやわらかい肌触りに対する強い接触欲求があること
・子の母への結びつきである愛着の形成要因は、生理的欲求を満たす授乳よりも、しがみつくことによる接触経験のほうが重要な役割を果たしていること

を明らかにしました。

この結果は、世界的な関心を呼び、人間の子供の発達、特に母子関係の発達についても同じことが言えるのではないかと考えられます。

さらに、隔離されたサルは、成長後、母サルと一緒に育った赤ん坊には、まったく見られない行動上の異常を示したり、群れに戻っても社会適応が困難だったようです。
つまり、ある一定の年齢までは、親と子供は一緒にいた方が良いことが示唆されています。

 
近年、ネグレクトを含め児童虐待は増えていると聞きますが、
親子のコミュニケーション不足・スキンシップ不足が、
大きな原因の一つになっていると私は思います。

 
今回は小児鍼についての説明はありませんが、
具体的な話しに入る前フリといった感じでしょうか。

次回に続きます。

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