続・食生活と不妊症
今週もはじまりました
ドラマの「MOZU」と「ルーズヴェルト・ゲーム」も終わり、毎週の楽しみが減ってしまい少し残念。
さて、
前回は中途半端なところで終わってしまい失礼しました。
予告どおり、不妊症と食事の続きです。
「良い脂肪」である不飽和脂肪酸(特にオメガ3脂肪酸)と、「摂りすぎは良くない」飽和脂肪酸については前回書きました。
また、乳製品についていえば、“低脂肪よりも脂肪分無調整のほうが排卵障害を改善する”そんな目からウロコな研究結果を紹介しました。
残りは完全に悪者あつかいの「トランス脂肪酸」です。
トランス脂肪酸とは、植物性油に水素を添加して固形または半固形に加工する際生じる副産物で、この人工的につくられた油脂は劣化しにくく、においがありません。ですので、ファーストフードやレストランの揚げ物に重宝されます。
食品業界にとっては都合の良い便利なものですが、人間の身体にはよろしくない!
LDL(悪玉コレステロール)を上昇させるだけでなく、HDL(善玉コレステロール)を下げてしまいます。血液中に塊をできやすくし、心臓発作や脳卒中のリスクを高めます。また、トランス脂肪酸は体内で炎症を引き起こし、これも心臓疾患や脳卒中、糖尿病をおこす原因となります。
そして、妊娠を望む女性にとっても大きく関わり、排卵や受精の障害となると言われています。インスリン抵抗性が生じることにより、血糖値とインスリン値が上がり妊娠しにくくなります。そのうえ、炎症を起こしやすくなるので、排卵、受精、胚の発達の障害にもなるのです。特にインスリン抵抗性と関係する多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方は、トランス脂肪酸を避けるほうが賢明です。
では、どんな食品に多く含まれているのか!?
特にファーストフードでよく使用されています。他には、レストランの揚げ物、マーガリン、クッキー、クラッカー、ドーナツなど焼いた製品のショートニングに多く含まれます。
ちなみにショートニングとは
ラードの代用品としてアメリカに開発されたもので、原料の油脂に若干のガスを混ぜたもの。これを使うと、お菓子やクッキーにサクサク感がでるのだとか。
ファーストフードのフライにも多く使われています。
最近はよく雑誌やインターネットでも、トランス脂肪酸の摂取については注意を促していますが、いまだ多くのレストランやファーストフード店では、フライドポテトやドーナツ、その他の揚げ物に水素添加油を使っています。
「百害あって一利なし」とまで書かれているトランス脂肪酸の恐ろしさ、少しはガッテンしていただけでしょうか?
ということで、「不妊症と食事」について書いてきましたが、今回は「脂質」についてのみです。長々と書きましたが、これでもほんの一部に過ぎません。他にも炭水化物やサプリメントなど、不妊症と食事・栄養素の関係性は多くのことが言われています。
しつこく念をおしますが、「これを食べたら妊娠できる」や「これを食べたから妊娠しない」などという食べ物はありません。
妊娠しやすい身体をつくるためにバランスの良い食生活を心掛けてください。
そして、不妊の原因はさまざまです。
食生活や生活習慣を見直したからといって、どうにもならないことは多々あります。
いくらオメガ3脂肪酸を摂っても、卵管閉塞は治らないでしょうし、いくらトランス脂肪酸を完全に絶ったとしても、無精子症を改善することは難しいでしょう。
言うまでもなく、それぞれの原因に適した治療を受けることが必要です。
その上で、自然妊娠を望む方も、体外受精をされている方も、食生活の改善や適度な運動、ストレスの軽減、喫煙をやめるなどのライフスタイルを見直すことが、妊娠率を高めると私は考えます。
しかし、身体に良くないとされる物って…美味しかったりするんですよね、だから困る!
今後も、ちょいちょい不妊症と食生活について発信していきます。