魔女の一撃

先日、友人に開業を報告したところ、さっそく彼はギックリ腰になり、来院してくれた。
思えば先週から他にも腰痛を訴える患者さんが多い(絶対数が少ないけど)

実はこの時期ギックリ腰や寝違いなど、筋肉を傷めやすくなっている。いわゆる筋違い(すじちがい)
重い物を持ち上げる、子供を抱っこする、急に立ち上がる、など患者さんによってトドメのさし方は様々だが、なぜこの時期に多いのか。

東洋医学的には理由がある。

東洋医学には「五行説」という考えがあって、簡単に言うと世の中のさまざまなものを木、火、土、金、水の5種類の属性に分類してしまおう、というもの。
その考えでいくと、「木」のグループには「肝」、「筋」、「目」、「涙」などが所属しており、影響を受けやすい季節は「春」、さらには人の感情も5つに分類していて木は「怒」である。
つまり、この「春」の時期は「肝」の働きが弱りやすく、「筋・筋膜」に栄養(気や血)がまわらなくなり傷めやすい。さらに新しいことが始まったり、環境が変わったり、せわしない時期で「イライラ」しやすい。そんな悪条件が揃ったところに、中腰で重い物を持ったりしてトドメをさしギックリ腰の出来上がり。

他にも、冬の寒い時期が終わり、「よっしゃ そろそろ温かくなったし、ちょっと張り切って頑張っちゃおうかな!」といって気持ちだけ先走り、まだ温まっていない固い筋肉は急な動作についていけず、グキっといきやすい。

ギックリ腰で来た友人は、痛めてから早目に来てくれたので、一回の治療でほぼ完治し、来たときはコルセットしていたのが、帰るときにはコルセットを外して小走りで帰って行ったので、私も安心した。ギックリ腰にも程度があるので、もう少し時間のかかる人もいる。私としては、数回治療させてもらう時間をいただきたい。
ちなみに約7年ぶりに会った友人は、今や3人の子供がいて、一家を支える立派な父親になっていたことに驚いた。
彼には申し訳ないが、嬉しい再会の機会を与えてくれた「魔女」に感謝しようか。
※ギックリ腰のことをドイツ語では「魔女の一撃」と呼ぶ

芽吹きの春、活動的になるのは良いことですが、急がず焦らず、悠々自適にいきましょう。

 

深谷悠平

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